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音楽を違った角度から見てみる 第三回 大きな矛盾

第一回ではなぜ12種類なのか、という疑問が残った。第一回の表と第二回の説明では大きな矛盾があると書いた。

メジャーコードは周波数比が1 : 5/4 : 3/2 = 4:5:6 でなければならない、と書いた。では、その通りになっているかどうか、第一回の表を見てみる。

ド#
440 554.3653 659.2551

・・・・ずれてんじゃねぇか!

第一回の表は「十二平均律」。第二回は「純正律」の説明だったのだ。僕らが普段耳にしている音楽は9割方は「十二平均律」。なぜそんな不完全な音律をみんな好き好んで使っているのか?
それは、「純正律」を使うには、和音が変わるたびにチューニングを変えなきゃいけないからだ。それを実現出来る楽器はボクの知っている限りでは、「声」と「テルミン」しか無い*1。バイオリンとかはかなり理想に近づける事は出来ても、開放弦だけはどうにもならない。
驚くべき事に「レファラ」の時のレと、「ソシレ」のときのレとは同じではいけないのだ!

ではそれぞれの音律で実際の曲を聴いてみる。



全てを妥協した「十二平均律

http://showizh.cool.ne.jp/showtheflag/ongakuriron/heikin.mp3:sound




次は5度の和音の綺麗さを重視したピタゴラス音律*2。ほとんどの5度音程(全ては無理*3)を 1 : 3/2 のジャストの比率にしている

http://showizh.cool.ne.jp/showtheflag/ongakuriron/pita.mp3:sound




次は「純正律」。一部の和音を犠牲にしても良いから主要3和音を合わせよう、という音律。

http://showizh.cool.ne.jp/showtheflag/ongakuriron/pure.mp3:sound


この通り、音律によって綺麗な部分と汚い部分が違ってくるのです。・・・・・え?分からない?
そう。ぶっちゃけ大して変わらない

どの部分が心地よく聞こえるかは人によって、或いは気分によって結構違ったり、場合によっては微妙にずれているほうが気持ち良かったりする。ビブラートなんて掛けた日には音律もクソもない。「平均律は汚いから駄目」とか言っている人は、今すぐビブラートなんて掛けるのやめた方が良い。
昔の音楽家達は(今もクラシックなんかは)↑の3つの音律の中間の様な音律を作って、調(キー)によって感じ方が変わるような工夫をしてた。
優れた歌手・演奏者は無意識の内に部分的に純正律に近い演奏をして、人を感動させる事が出来る。

なぜ12種類なのか?

なるべく単純な周波数比を多く登場させるには約数の多い数で分ければ良い。しかし18とか24で分けても違いを感じとるのに苦労してしまう。という訳で、「適当にちょうど良い数を探したら12だっただけ」だと思う。

次回へ続く。